2015年08月08日

雨と霧の白馬三山縦走登山

17日早朝からテレビの気象情報を気にしていた。
明日から白馬三山縦走に出かける。やはり気象は一番大事なことだ。
天気予報では
「台風11号は、17日6時現在、岡山県倉敷市付近を1時間に20キロと
自転車並みの速さで北上しています。このあと、台風は中国地方を縦断し、
午後には日本海に抜ける見込みです」

「よっしゃ~この分だと天候も回復に向かうぞ」

ザ・夏山!! 雪渓・お花畑・温泉と言うと白馬三山だ。
大雪渓を登り、白馬岳~杓子岳~白馬鑓ケ岳の三山縦走して白馬鑓温泉
小屋に泊り、温泉を楽しむ!! 夏山の一番人気のコースだ。

18日、白馬村役場前に集合。今回のメンバー7人は車に乗り合わせて猿倉へ向かう。
猿倉の登山口に立ったのは午前8時、分厚い雲が垂れた空を見上げ好天を祈る。
準備を整え緩やかな登りの林道脇の山アジサイ、ホタルブクロを愛でながら登山道を
小一時間歩く。気になる雲行きだ・・・・ 大粒の雨がポツポツ落ちてきた。
 「マジ?」 「チョット早いかも」 雨具を着けて先を急ぐ。
林道が終り岩礫の登山道を暫らく登ると、白馬大雪渓末端となる白馬尻に到着です。

雨と霧の白馬三山縦走登山
雪渓末端に向かうメンバー

白馬尻で小休止後、準備をし直して登り始め、20分ほどで雪渓末端に着く。
アイゼンを装着して吹き降ろす冷風に注意しながら、一歩、一歩固い雪渓に
足場を確認しながら登る。

雨と霧の白馬三山縦走登山
雪渓を登る

台風11号の影響か登山者の姿がまばらだ。
時折強い雨が吹き付け思わず目線を下げる。雪渓上には、頭ほどの大きさの
落石が散乱している。落石にも注意を払いながら登る。

白馬の大雪渓は全長3.5キロ、標高差は600メートルもある。ひたすら長い
登りをアイゼンで歩くので下腿三頭筋・ふくらはぎへのダメージが蓄積してくる。

高度が上がるにつれ勾配も急になってくる。さらに、雨で濡れた身体に疲れが
追い打ちし足が重く息切れがする。前方を歩く仲間の足元を見ながら〝ガッシ〟〝ガシ〟
小股で〝ハー〟〝ハァー〟呼吸を整えながら進。
二時間ほどで雪渓を登り切る。ゴツゴツしたガラ場の葱平でアイゼンを外し休憩する。

雨と霧の白馬三山縦走登山
花々の咲く葱平

小雪渓へ向かう斜面をクルマユリ、シナノキンバイなど、花々を愛でながらジグザグに登る。
雨のやむ気配はなく、ますます雨足が強くなってきた。予定のコースタイムは遅れ気味だ。
「体力的に限界だ」 休憩できる場所を探し昼食を摂る。

雨と霧の白馬三山縦走登山
小雪渓をトラバース

葱平を過ぎると小雪渓にさしかかる。
慎重にトラバースし避難小屋のわきに出る。今年は例年より残雪が多くアイゼンを
装着と取外しを幾度と繰り返しながら登る。
深い霧と時折打ち付ける雨で周りの景色は見えない。聞こえるのはシャラシャラと
雪渓から流れ出した水の音。雪渓の脇に咲くハクサンフウやハクサンイチゲが
荒んだ心を癒してくれる。

ようやく濃霧の中、稜線近くに建つ頂上宿舎の建物がぼわ~んと見えてきた。
階段を上り詰め白馬岳頂上宿舎に到着です。猿倉を出発して5時間歩いた
皆の顔に笑みが戻った。
ロビー兼休憩所に入るとストーブに赤々と燃えていて、思わず
 「おぉ~温かい」 とつぶやいだ。

暖をとりながら飲む温かいコーヒーは 「ほわ~」 美味しい。
冷えた身体にようやく正気をとりもどす。

こちらで20分ほど休憩後、今宵の宿舎白馬山荘へ向かった。
白馬山荘はここから20分ほど稜線を登った山頂直下にある。
ここのアプローチは杓子岳、白馬鑓ヶ岳、旭日岳など雄大な山々を
望みながらのコースだが、濃霧の中ひたすら歩く。だが、皆の足取りは軽い。
石垣の間を登り詰め今宵の宿舎に到着です。

白馬山荘は、白馬岳頂上直下標高 2,832mに建つ収容人数800人
を収容できる日本山岳最大宿舎です。

雨と霧の白馬三山縦走登山
食堂で乾杯!!

山小屋の楽しみは食事です。
夕食は魚か肉からハンバーグを選びました。
当然食事前は乾杯でしょう。Sさんの差し入れワインで乾杯です。
「明日は、よい天気に恵まれますように」
「無事に帰還できますように」
乾杯!! 「カンパ~イ」

19日4時起床。
外は濃霧の小雨模様。今日は杓子岳、白馬鑓ヶ岳を登頂し白馬鑓温泉小屋まで6時間歩く。
当然気になるのは天気だ。ロビーで天気予報を確認する。「一日曇りから小雨」下界では30度を超す夏日なのだが、やはり山岳地帯は安定しない。

朝食を済ませ雨具に身を固め霧のなか白馬岳山頂を目指す。
20分ほどで登頂。あたりは真っ白い世界、雄大な景色を堪能できる状況ではない。
記念撮影をしてそそくさと小屋に戻る。

雨と霧の白馬三山縦走登山
白馬岳山頂 2932m

出発前に、レストラン 「スカイプラザ白馬」で、落としたてのモーニングコーヒーをいただき
「さ~今宵は野天風呂だよ」心に余裕を以って出発。
今日は2座を登って汗しても温泉でサッパリできる。皆の足も軽るい。
晴れていれば杓子岳まで続く稜線に、道が延びているのが見えるはずだが
小雨と真っ白い霧に阻まれて見通しがきかない。

雨と霧の白馬三山縦走登山
杓子岳山頂直下をのぼる

行き交う登山者も少なめだ、台風11号の影響なのだろう。
ウルップソう咲く稜線を下り、最低鞍部から急傾斜の岩礫帯を皆無言で登る。
杓子岳の赤い石をザクザクと踏みしめながらハイマツの中を登り詰め
10時杓子岳2812mに登頂です。

雨と霧の白馬三山縦走登山
赤い岩礫の杓子岳 2812m           白い岩礫の白馬鑓ヶ岳 2903m

休憩後次のを白馬鑓ヶ岳めざす。
鑓温泉分岐までのコースは、富山県と長野県の県境上にある。
右手が富山、左手が長野県。富山県方面には立山連峰が望め、下方には
黒部峡谷の絶景が見える・・・・・・ が、ガスの中をひたすら歩く。
皆「残念」とは思っていない。これが山歩きだから。

杓子岳をいったん下がって小鑓に登り、広い尾根道を40分ほど登り
白馬槍ケ岳山頂2903mです。 「バンザーイ!」 これで白馬三山全制覇だ。
 「おめでとう」 「おめでとう」 握手を交わし互いのの健闘をたたえあう。

雨と霧の白馬三山縦走登山

山頂にて昼食をとる。風を避けてハイマツの下で昼食を味わい、談笑のひと時を過ごす。
食後、記念撮影の後白馬鑓ヶ岳の山頂をあとに、20分程の下りで鑓温泉の分岐に着く、
ここからは温泉方面へ下るだけ。
このコースのハイライトは大出原のお花畑散策が始まります。おもな花としましては、ハクサンイチゲ、チングルマ、ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、ハクサンコザクラ、エゾシオガマ、ハクサンフウロ、クルマユリなどの豊富な高山植物を楽しむ事が出来る。

雨と霧の白馬三山縦走登山
大出原のお花畑

雨も止んで左右に咲き誇る花たちを愛ながら歩く。
二日間、風雨のなかをひたすら歩き気持ちも沈みがちだ、咲き誇る花たちは
カンフル剤のようなもの活力がわいてくる。

雨と霧の白馬三山縦走登山

お花畑の左斜面をトラバース気味に下り、主陵線から離れていく。
ガレた急斜面をひたすら下り続けて、温泉小屋上部の岩場に設置された鎖場は険しく滑りやすい。
注意しながら鎖を頼りに下降し、小屋を左下に見ながら雪渓を下り白馬鑓温泉小屋に到着。


雨と霧の白馬三山縦走登山

ガスと時折吹きつける雨で何も見えない中、ひたすら歩くのは体力を消費する。
温泉上部の雪渓を下った時は一気に力が抜けた。
こちらの温泉小屋は、なんと標高2100mに位置し雲海を眺めながら
湯船に浸かる事が出来る温泉なのだ。

雨と霧の白馬三山縦走登山
受付後、早速入浴(外来の方は500円)です。

鑓温泉は標高日本一の天然湧出量(毎分760リットル)を 誇っています。
神経痛、筋肉痛、関節痛等に効果があります。
「ほわ~いい湯だ!!」
「山旅の疲れも癒えるねぇ~」

野天風呂は、女性の方は水着を付けて入浴していました。
とは別に、女性専用の内湯もあります。

雨と霧の白馬三山縦走登山
乾杯!!

温泉に浸かり、汗を流した後は 「やはりビールでしょう」
カンパ~イ!! 「くえ~旨いス」 登山の疲れをビールで癒す。

20日、雲間から3日振りの朝日が輝く。
6時30分身支度を整え、下山を開始する。
残雪を下り、渓流を渡り、ガレた山腹を巻き高度を下げる。
振り仰ぐと縦走してきた白馬鑓ヶ岳の稜線が眩しく望まれる。

雨と霧の白馬三山縦走登山



下って下って、昼前猿倉手前の登山道入り口に到着! ここで一日目に歩いた道に合流。
猿倉の食堂でカツカレーの食事をとり皆と別れ帰路に着く。

雨と霧と強風の白馬三山の峰々を踏破。冷えた身体を温泉で温め
辛いながらも想いで深い山行だった。



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Posted by さだやん at 10:10│Comments(0)登山
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